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介護保険利用の「目的」と「その理由」とするところとは?

2018年1月23日 13:37

介護職が知っておきたい知識や情報

平成25年9月4日社会保障審議会介護保険部会(第47回)の資料である「要支援1から要介護2の認定調査結果」では「要支援者のほとんどは、身の回りの動作は自立しているが、買い物など生活行為の一部がしづらくなっている」と結論付けています。

実際、私自身日々受ける介護に関する相談の多くは「買い物や調理が大変になった」「歩く力が衰えた」「お風呂に一人で入る事が難しい」といったものであり、
介護保険利用のきっかけはIADLすなわち手段的日常生活動作の衰えが多く関与しているのだと感じています。
このような相談を受けると、ほぼ同時にすぐにでも誰かが駆け寄り買い物や掃除、調理を行ってくれる、または足腰を鍛えるためにどこかでリハビリテーションを受けることができる、もしくは銭湯感覚でお風呂にいれてもらえるものと、それこそ眼前に出現した困り感に対して正当な対価を受けとるかのように、介護保険利用がすんなりと出来ると考えられている方も多く見受けられます。
良い意味で捉えれば、それだけ介護保険制度の周知が進んでいるのでしょうが、反面その利用目的を正しく理解した上で相談に来られる方は圧倒的に少ないと感じています。そもそも介護保険法第4条(国民の努力及び義務)において「国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする」と規定されています。

不適切な説明の背景にあるもの

このような制度の目的やその利用方法を国民一人一人が正しく理解し、利用に向けて適切な手続きを取ることは現実的ではありませんし、複雑な制度を紐解き分かりやすく説明することこそ専門家が成すべきことではあります。しかし、問題は肝心の介護保険利用を勧める側の人間でさえ正しく制度を理解していない場合があるということなのです。医療従事者である医師や、在宅復帰や退院調整を行っているソーシャルワーカー、場合によっては行政側の人間でさえも、よく理解しないまま介護保険利用に纏わる説明を行っている場合が多く、いつでもすぐに介護保険を利用できるものだと相手に錯覚させてしまうケースは決して珍しくありません。


「家のごみを片付けてもらって、掃除や食事も行ってもらえると区役所の人に言われて来ました」
「病院の医師から介護保険を申請すれば、すぐにリハビリテーションを利用できると言われて来ました」

このような相談を持ち掛けてくる方もいらっしゃいますが、介護保険制度が個人の希望に沿い、叶えることを本質とするところではない、ということを伝えるときは、確かにあくまで制度のこととは言えどもこちらも心苦しくなるものです。このように困ったときの何でも屋感覚で介護保険が利用できるものと相手に錯覚させてしまうのは、そこに他意の有無に関わらず、その責任は重いと言わざる得ないでしょう。

まとめ

来年度の介護保険の総費用は11兆840億円に上るとも言われています。今後厚生労働省はますます介護保険の適正利用を求めてくるでしょうし、それは当然の事だと思います。そのためには、求めている人に適正なサービス量が適正な間供給されるようにしなければなりません。そこには、介護保険利用を勧める側の人間が正しく制度と社会背景を理解し、それを利用希望者に伝えていく義務があるのです。財布の口を縛るだけでは介護保険問題は解決しないことを携わる人間一人一人が考えなければならないと私は考えます。

ライタープロフィール

太郎丸
日本文学系大学卒業後、介護老人保健施設に介護士として就職。
介護士として3年目に「介護福祉士」を取得。
主に認知症介護に加え、口腔ケアや排泄ケアを専門に取り扱うようになる。
後、5年目に「介護支援専門員」を取得し、介護老人保健施設を退職。

退職後、有料老人ホームに介護支援専門員として再就職。
6年間常勤職員として、施設サービス計画書の作成の他、施設の運営等にも関わる。

有料老人ホーム退職後、主任介護支援専門員として地域包括支援センターに常勤職員として勤めるようになる。
現在、国が推し進める地域包括ケアシステムの構築のため、日夜邁進。

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