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75歳以上の高齢運転者は運転をやめるべきか

2018年5月4日 13:13

介護職が知っておきたい知識や情報

「死亡事故を起こした75歳以上の高齢運転者は、全受検者と比較して、直近の認知機能検査の結果が第1分類(認知症のおそれ)・第2分類(認知機能低下のおそれ)であった者の割合が高い(約49%が第1・第2分類)ことから、認知機能の低下が死亡事故の発生に影響を及ぼしているものと推察される」
(平成30年2月15日…交通企画課平成29年における交通死亡事故の特徴等についてより一部抜粋)

ご家族からの「運転をやめさせたい」という気持ち

日々の介護相談の他に、ご高齢者の車の運転に関する相談を受けることがありますが、その殆どがご家族側から当該高齢者の運転をやめさせたいというものです。「やめさたい」と言っても相談を受ける私達には強制的な権限等勿論ありませんし、仮にそのような権限を持ち得ていたとしても、相手の意向を無視した行いは利用者本位の道からそれるばかりですし、結局の所「よくよくお話をする」ということが基本姿勢となってきます。

上記の結果に関わらず、特に「75歳以上の後期高齢者の方が運転実施」の是非を問えば、大抵の場合は「反対」あるいは「やめさせるべき」という意見に偏るのではないでしょうか。

仮に私自身身内にこのような運転に関する問題が発生したとすればすぐさま「やめて欲しい」と声を上げるでしょうし、場合によっては車の鍵等も取り上げてしまうかもしれません。その理由を考えてみると、このやめて欲しいというのは非常に感覚的なものに近く、理屈云々ではないように思われます。確かに身内が人身事故を起こしたとすれば「当人だけで無く家族全体、延いてはわが身にも降りかかる」「世間体の問題」等、「当事者だけでなくそれを取り巻く環境にも影響を及ぼす可能性があるため」という自己保身に近い理由もあるでしょうが、やはり第一には当人が心配だからという所に尽きます。

ところが、客観的な立場で相談を受けると、心の内では「やめさせた方が良いだろう」とは考えてはいても、実際には具体的な手段を私達相談機関が積極的に取ることは難しく、結局の所、対応方法の殆どは「当人とご家族とでしっかりと話し合いを行って欲しい」という所に終始してしまうのは仕方がないこととはいえ、どこか矛盾のようなものを感じずにはいられません。

環境的に必須な方もいる

車の運転が趣味によるものであったり、所有していなくとも、生活に支障をきたさないものであればあるいは説得も容易かもしれませんが、環境的に必須に近いという方も確かにいらっしゃいます。現代においてある程度インフラが整備されているといっても、それはあくまで目に見える限られた範囲となります。特に山坂が多い地域や、細い路地が多く密集する箇所では、陸の孤島と化してしまうことがありますし、そのような要因を内在的に抱えている場所も数多く点在しています。足腰も丈夫で年齢も若い間はなんということもない場所も、高齢になった途端目的の場所に通うことが困難になってしまうということも珍しくありません。加えて、身寄りや頼りになる人が近くにいない、介護保険の利用も難しい、という状況も重なってしまうと車の存在はますます大きくなってしまいます。

まとめ

潜在的に事故を起こす可能性があるため、問答無用で車の免許を取り上げる、というのはかなり乱暴な考えだとは言え、そう考えること自体が悪いとは誰にも言えないでしょう。今後この問題は更に肥大化かつ重大化していくのは、日本の人口、超高齢化社会を見れば明らかです。
今後、車そのものの在り方も大切ですが、制度や、車と地域と住まう高齢者との関係性に対する理解や、安全な車社会に向けての一層の仕組み作りも同じく重要になってきます。また家族単位において、認知症という病気を正しく理解し、その上で早い段階から自分の家族と車の関係を見直していけるようにもなっていかなければ、本当の意味でこの問題の解決は難しいと言えるのではないでしょうか。

ライタープロフィール

太郎丸
日本文学系大学卒業後、介護老人保健施設に介護士として就職。
介護士として3年目に「介護福祉士」を取得。
主に認知症介護に加え、口腔ケアや排泄ケアを専門に取り扱うようになる。
後、5年目に「介護支援専門員」を取得し、介護老人保健施設を退職。

退職後、有料老人ホームに介護支援専門員として再就職。
6年間常勤職員として、施設サービス計画書の作成の他、施設の運営等にも関わる。

有料老人ホーム退職後、主任介護支援専門員として地域包括支援センターに常勤職員として勤めるようになる。
現在、国が推し進める地域包括ケアシステムの構築のため、日夜邁進。

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