包括的自立支援プログラムは適切なケアプラン作成の為に用いられている手法であり、1995年に初めて提唱されました。
ケアプランはケアマネジャーの主観が入っていたり、本当に高齢者が自立するためのケアプランでないことがあり、それらの問題を解決するべく包括的自立支援プログラムが導入されました。
ここでは包括的自立支援プログラムの詳細についてご紹介していきます。
サービス内容の見直しが中心
包括的自立支援プログラムが行うことは新しくケアプランを作ることではなく、既存のケアプランの見直しから始めます。現在どのようなサービスが行われているのかを把握して、問題点を発見し、修正してケアプランに反映していくことが目的とされています。
また、見直しは細かく行われており、主に7つの分類がされています。
1つ目は食事と水分摂取であり、食べるための動作は出来るのか、摂取量などを見ていきます。2つ目は排せつであり、排せつ動作や尿意や便意はあるのか確認をします。3つ目は入浴であり、入浴までの動作や入浴回数などを見ていきます。4つ目は整容と更衣、5つ目は基本動作介助とリハビリテーション、6つ目は医療や健康、7つ目は心理面と社会面であり、コミュニケーションや問題行動、精神的な症状などを把握していきます。
これらのように見るポイントを細かく分類して、高齢者のことを包括的に見ていくことが特徴となっています。
どのようなメリットがあるのか
包括的自立支援プログラムを行うことによってどのようなメリットがあるのでしょうか。大きなメリットとしては、課題を発見し解決するスピードが非常に速いことが挙げられます。
包括的自立支援プログラムを行う際には実際にサービスが提供されているので、問題点を把握しやすい状態にあります。特に包括的自立支援プログラムの場合は細かく分類されているので、例えば食事のことであれば栄養士に相談、入浴や移動に問題がある場合は福祉用具で対応するなど既にあるサービスに+α、または変更するだけで課題が解決できるメリットがあります。
また、細かく分類してみていくことによって残存機能の発見などの高齢者を深く知るためのきっかけにもなります。サービスを提供しているとどうしても見る範囲が狭くなってしまいますので、ケアマネジャーが包括的自立支援プログラムを実施することによって高齢者の今まで見れなかった一面を見ることができるのです。
ケアマネジャーの経験の差を埋めることが出来る
ケアマネジャーは経験によって差が大きい職種であるといわれていますが、包括的自立支援プログラムはきちんとプログラム化されていますので、やることは決まっており、やり方に沿って行うことによって経験の浅いケアマネジャー、経験の深いケアマネジャーの差を埋めることが出来るのです。
そのため包括的自立支援プログラムは誰でも一定の効果が出せる方法として重要視されています。
まとめ
包括的自立支援プログラムは古くから注目されており、その手法は何種類かに分かれていますが、共通して言えることは高齢者自身と高齢者を取り巻く環境を総合的に見ていくことが特徴とされています。
そのため、包み込むように自立を促すプログラムとなっているのです。
ケアマネジャーの視点からすると、手法が確立されているので使いやすいという声が多く、今後も包括的自立支援プログラムを使ったケアマネジメントが実施されていくでしょう。
また、自立を促すケアプランを作成することによってケアマネジャーとしても非常にやりがいを感じるとともに、高齢者自身も生きる活力になりますので、是非実施して効果を実感できるようになりましょう。
ライタープロフィール
Kokko0320
介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士を取得しています。
介護についての情報や私の経験談など、現在介護をしている方はもちろん、これから介護を目指している方にわかりやすくご紹介していきます。