ターミナルケアは看取りケアともいわれて、死去する際のケアになります。以前までは看取りは自宅ですることが一般的でしたが、それが難しくなると次は病院で最期を迎える方が増えました。
しかし、最近では病院で最期を迎えるよりも施設で最期を迎えることが重視されるようになりました。その理由とはどのようなものがあるのでしょうか。
QOL低下の問題
QOLは生活の質と呼ばれており、QOLは最期まで高い水準にしておくことが求められています。しかし病院ではQOLが低下してしまいます。その理由としては、病院は医療施設であり、あくまでも病気を治すことが最優先となります。そのため、病院では生活の質は最優先されず、拘束されるなどのQOLが低下してしまうような問題が起きてしまいます。
その点介護施設では生活が優先されますので、拘束は原則禁止ですし、その方が迎えたいような最期を迎えることが出来るのです。
医療費の軽減
病院で最期を迎えますと、医療費が非常に高くなってしまいます。治療が既に出来ない状態の患者さんを最期まで看取ろうと思いますと、入院期間が長くなりますのでその分医療費が増加してしまいます。
介護施設で生活するのと、病院で生活をするのとでは費用が違い、介護施設で生活をしてもらう方が税金を抑えられます。そういった側面からも介護施設でのターミナルケアは重要視されるといえます。高齢者が増加している現在、医療費を抑えることは国としても取り組まなければいけない問題です。施設は積極的にターミナルケアをしていくことが大切になるのです。
介護施設ではターミナルケアが出来なかった
介護施設においては、以前はターミナルケアを実施するところが少なく対応が出来なかったり、したとしてもきちんとしたターミナルケアが出来ず、結果的にQOLが下がった状態で最期を迎えることもありました。
しかし、ターミナルケア加算という、施設で看取りをすることによって通常よりも多くの報酬が入る加算が出来てから一気に施設でのターミナルケア加算が出来ました。また、ターミナル加算を取得するために必要な書類の作成、主治医との面談なども必要になり、より高齢者や家族に寄り添った介護が出来るようになったのです。
職員の意識も変わる
ターミナルケアを実践することによって、職員の意識も徐々に変化していきます。ターミナルケアが盛んに行われていなかったときは、職員は「最期は病院で看てくれるから」と半ばあきらめのような意識があり、その方を最期まで看るという責任感が薄かったのです。私自身もどこかそのような意識を持って働いていました。
しかし、施設でもターミナルケアを実践できることが分かると、最期まで責任を持って介護をするという意識が出てきて、介護の考え方も変化してきたといえます。最期までその人らしい生活を送ってもらえるにはどうしたらいいのか、しっかりと考えて介護を行うことが出来たかと思います。
まとめ
介護はいかに最期までその人らしく生活をしてもらえるのかが課題となっていますので、医療施設である病院で最期を迎えてしまいますとその人らしさは薄らいでしまうかもしれません。
もちろん自宅で看ることが一番良いとされていますが、家族の介護負担が大きくなってしまったり、在宅介護サービスも24時間対応でないことから施設での看取りが最もその人らしい最期を送れるケースもあります。
ターミナルケアは特養や老健などの施設を中心として有料老人ホームや、最近ではグループホームでも積極的にターミナルケアを実践しているところもあります。今後はますますターミナルケア加算が増加して、よりよい人生の最期を迎えれることになるでしょう。
ライタープロフィール
Kokko0320
介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士を取得しています。
介護についての情報や私の経験談など、現在介護をしている方はもちろん、これから介護を目指している方にわかりやすくご紹介していきます。