最近よく介護予防という言葉を耳にしますね。
日頃から運動や栄養改善などを積極的に取り入れ、介護が必要な状態をなるべく遅らせて、元気で生き生きとした健康状態を保つことを「介護予防」といいます。
この介護予防に特化した資格があることをご存知ですか?
今回は、これからますます需要が高まると予測される「介護予防運動指導員」についてご紹介します。
介護予防とは?
誰でも健康ではつらつとした毎日を送りたいと考えるのが一般的で、そのためには適度な運動と食事や生活習慣の改善といった日々の取り組みが大切だという事はよく知られています。
しかし分かってはいるけれど、実際にどのようなトレーニングが必要なのか?どの程度効果があるのか?といった事は個人レベルで取り組むにはハードルが高くなかなか継続しづらいのが現状です。
そこで現在、介護保険制度では「介護を受ける状態をなるべく遅らせる取り組み=介護予防」の促進に力を入れています。
マシンを使って効果的に筋力トレーニングを実施したり、転倒予防のための運動や体操の取り組みが各地域、各サービス事業者で積極的に取り組まれています。
この介護予防における重要な役割を担っているのが「介護予防運動指導員」です。
介護予防運動指導員とはどのような仕事?
近年、注目を集めている介護予防運動指導員とはいったいどのようなことが出来るのでしょうか。
1.プログラムを実施できる
介護予防運動指導員は、高齢者に対して筋力トレーニングや転倒防止の運動など、一人ひとりに合わせた介護予防運動プログラムを計画し指導します。実施した介護予防プログラムがどの程度効果があったのか測定や事前・事後評価を行います。
2.他の医療・福祉の専門職と連携を図る
介護予防プログラムを指導する中で、必要があれば地域包括支援センターやケアマネージャー、かかりつけの医療機関と連携し、さらに効果的な介護予防トレーニングに取り組みます。
3.老年症候群のリスク判定が出来る
「おたっしゃ21健診」という健診ツールを使用して高齢者に多く見られる症状やその兆候などを判定できます。
介護予防運動指導員が活躍する場は?
すでに所有している資格にプラスアルファとして介護予防運動指導員の資格を取得していると、様々な場面で活躍が期待できます。
デイサービス
市区町村が実施する地域支援事業のうち、要支援1・2の方や要介護認定を受けてはいないがチェックリストに該当する方などを対象に、通所介護サービスを提供するデイサービスセンターでは、介護予防運動指導員がプログラムを実施します。
また近年では、リハビリに特化した「リハビリ型デイサービス」が普及しつつあり、こちらでもプログラムの立案が出来る介護予防運動指導員は必要とされています。
介護保険施設
特別養護老人ホームや有料老人ホームなど、レクリエーションや機能訓練を通して介護予防に取り組む施設が増えています。すでに介護を受けている方でも、今の状態を維持することも介護予防に繋がりますので、介護予防運動指導員が実施するプログラムはこのような高齢者にも有効です。
フィットネスクラブやスポーツクラブ
一般向けのトレーニングジム等の中には、高齢者を対象とした筋力向上トレーニングプログラムを実施している企業があります。
高齢者の身体的特徴や加齢に伴う疾患など専門的知識を身に付けた介護予防運動指導員がプログラムを計画・実施・評価することは、利用者にとっても安心感に繋がります。
資格を取得するには?
介護予防運動指導員の資格は誰でも気軽に取得出来るものではありません。
受講資格には福祉系または医療系の資格を有していることなどの条件があるため、受講している方の多くはスキルアップの一環として資格取得を目指しています。
講座内容
介護予防運動指導員は東京都健康長寿医療センター研究所が主催する民間資格です。
指定を受けた民間スクールや団体等で、必要なカリキュラムを受講し、修了試験に合格した方が資格を取得できます。
【カリキュラム 講義・実習合わせて31.5時間】
・介護予防について
・栄養・口腔機能関連
・認知症予防やうつ・閉じこもりなど
・行動科学
・高齢者筋力向上トレーニング
・転倒予防
・失禁予防
受講資格
【医療系資格所有者】
医師・歯科医師、保健師・助産師、看護師、作業療法士、理学療法士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、健康運動指導士等
【福祉・介護系資格所有者】
社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、介護職員基礎研修過程修了者、実務者研修修了者、訪問介護員2級以上で実務経験2年以上の人、初任者研修修了者で実務経験2年以上の人
【その他】
上記国家資格の養成校など卒業見込みかつ資格取得見込み者(国家試験受験者)
費用
講座を開講しているスクールや団体等によって異なります。
65,000円~100,000円前後
取得にかかる期間
最短5日間~約1カ月程度
まとめ
今後ますます需要が高まる「介護予防運動指導員」は、介護や福祉分野ですでに実務に従事している方にとって、スキルアップに繋がりやすい資格のひとつです。
介護予防運動指導員の資格は仕事に活かせるだけでなく、大切な家族やご自身の将来に備えて習得した知識や技術を活かすことが出来ますので、資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ライタープロフィール
結のそら
むすびのそら。
介護福祉士や介護支援専門員として約20年介護業界に携わる。
取得資格:社会福祉主事、介護福祉士、介護支援専門員、主任介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター3級