社会福祉士は、福祉の様々な分野で働いています。特別養護老人ホーム(以下特養)にも社会福祉士は配置されています。特養の場合、「生活相談員」という名称になっているので、社会福祉士の資格を持っていると知っている人は、少ない場合が多いです。また特養で働いている介護員からすると、その「生活相談員」は大抵は事務所にいるので、「何をしているのだろう」と疑問に思う人もいますよね。
そこで特養の社会福祉士はどんな仕事をしているのかお伝えしていきます。
1. 特養の社会福祉士は「利用者の生活を支える」
特養における社会福祉士の役割としてまず挙げられるのが、「利用者の生活を支える」ということです。
とはいっても、介護職員の様にケアを行う訳ではなく、利用者が施設での生活に困っていることはないか聞き、介護職員と一緒に問題解決をしていきます。また利用者の金銭管理を行ったり、時にはご家族様と連絡して、利用者がより良い生活を行ったりする「縁の下の力持ち」的な存在です。
2. 特養の社会福祉士は「職員が働きやすいように動く」
特養の社会福祉士は、利用者だけでなく介護職員にも気を配ります。介護職員は女性が多いという特性もあってなのか、人間関係でのトラブルや職員の派閥などができやすいです。なので悩みを抱えていても、相談できないこともあります。
介護職員同士だと言えない悩みを抱えている人を見つけたら、話を聞きます。社会福祉士は基本的に中立な立場なので、客観的なアドバイスをし、その介護職員が働きやすいように環境調整を行います。
3. 特養の社会福祉士は「特養の何でも屋」
私が働いている介護施設にも、「生活相談員」という名前で社会福祉士は在籍しています。その社会福祉士は、特養の「何でも屋」の様な存在です。利用者の送迎からご家族様の対応、事務仕事をしながら電話応対、介護職員の悩みや愚痴を聞き、時には現場で食事介助の手伝いをし・・・と何でもこなします。なので、定時で帰っているのをほとんど見たことはないです。時には休日出勤し、事務所で書類を作成しているのを見かけます。
特養の社会福祉士の課題:現場からは理解されにくい
それでも介護職員からはあまり良く思われていないことがあります。「普段事務所にいて、現場のことが分かっていない」「社会福祉士持っていて、偉そうに」という声もあります。介護職員から見て、生活相談員は「頭でっかちな存在」とみている人もいます。
なので、頑張っていても現場から理解されにくいことも多いです。特養で生活相談員、社会福祉士として働くには、まずは現場経験を培うこと、そして介護職員との信頼関係を構築することが大事だと、働いている様子を見て痛感しました。
特養の社会福祉士の課題への対策:他の資格も持つ
また社会福祉士だけでなく、他の資格を持つことも大切だと感じました。私が働いている特養の社会福祉士は、最初は介護現場で働き、介護福祉士の資格を取得しました。その後ケアマネジャーの資格を取り、通信制の学校に通いながら勉強し、社会福祉士の資格も取ったということです。
資格を持つことで、広範囲に支援を行うだけでなく、信頼を表すことにも繋がります。初対面で社会福祉士のことを良く知らない人でも、介護福祉士やケアマネジャーの資格も持っていると分かれば、「ちゃんと介護のことを知っている人なのだな」と安心します。将来生活相談員として働きたいと考えている人は、介護福祉士やケアマネジャーの資格を取ることもオススメします。
まとめ
いかがでしょうか。特養の社会福祉士は「何でも屋だけど報われない」ことも多いです。それでも社会福祉士としての知識と経験を活かせば、利用者の生活をより良くすることができます。その為に職員との信頼関係を構築することは、必要不可欠です。
将来特養で社会福祉士として働きたいと考えている人は、まずは現場経験を培うことから始めましょう。そして介護福祉士やケアマネジャーの資格を取ることで、広範囲に支援を行うことができますよ。
ライタープロフィール
miruto
リハビリ系の学校に通うも中退。ひきこもりを経て工場で働きながら通信制大学に通い社会福祉士になる。その後現場経験を培う為、特別養護老人ホームで介護員として働いている。
趣味は温泉巡り。