レクリエーション…ひと昔前は紙風船を使うレクをよく見かけました。「困ったときの紙風船」というくらいに出番が多かったです。今はもっと種類があるようで、それだけ必要性があるということではないでしょうか。季節がよければお散歩もいいですね!会話も弾みます。ここでは私が経験を通して感じた「レクリエーションの心得」をご紹介いたします。
レクリエーションの心得1. 向き不向きに関わらず大切なこと
「あなたはデイサービス向きよ。」とよく言われたのですが、テンションを高く保つイメージがあります。人前に出るのが苦手な方は確かに大変なようです。デイサービスをいくつか見学したことがあったのですが、「幼稚園児じゃない。」とおっしゃる利用者さんがいたり、ひたすらカラオケで、スタッフは手拍子しているだけという施設があったり様々でした。
担当する限りは恥ずかしがっていては盛り上がるものも盛り上がりませんから、そこは「元気よく」がもちろんいいのですが、そういう場になじまない利用者さんだっています。みんなが楽しいはなかなか難しい。ですが身体機能の維持や向上の必要性、運動の大切さを理解していただいて参加を促したり、それが無理なら個人的にできるレクなど、ニーズやできることの把握も必要になってくるのではないでしょうか。レクにはちゃんとした目的や意味があります。
レクリエーションの心得2. レクの目的を整理する
身体の維持や向上
どうしても運動量が減るので筋肉量も減ります。そうなると転倒や骨折がきっかけで寝たきりになることも少なくありません。そのためにも筋肉の維持が必要です。またレクリエーションはストレス解消や、夜によく眠れるなどの効果があります。
脳の活性化
ゲームで考える、判断する、指先を動かすことが刺激になり認知症の予防や進行を遅らせる効果が期待できます。
コミュニケーション
人生を豊かにするためにも、交流をもつことで社会とかかわりができ張り合いが出ます。
レクリエーションの心得3. 施設内でのレクとは何かを考える
特養の毎日のレクは忙しさで飛んでしまうこともありましたが、一番驚いたのは『幼稚園児の訪問』でした。子供のキラキラとした姿を見ている利用者さんも、目がキラキラしていて本当に楽しそうでした。相当集中して子供たちと触れ合ったのか、あとでぐったりと疲れて寝てしまわれる利用者さんが多く、夜が寝付けないのではないかと焦りましたが、十分、触れ合いでも楽しめると感じた瞬間でした。
そこで触れ合いというところから、アニマルセラピーを企画したのですが、それはあっさり却下されました。アレルギーや動物が嫌いな人もいると言われればそうかもしれませんが、もう少し何とかならなかったかなと時折今も思い出します。
レクリエーションの心得4. レクリエーションとはその人の趣味や生きがいにつながるものである
印象的なエピソードなのですが、お正月にお習字のレクをしたとき、達筆な利用者さんがいて、あるスタッフがそれをコンテストに出すよう勧めたのです。その利用者さんに了解を取り、手続きを全部引き受け応募すると、なんとそのお習字が賞を取ったのです。
それからそのスタッフは、お習字のコンテストを見つけては利用者さんと相談し、応募を続け、このほかにも賞をとっていました。当時90歳近くのその利用者さんは「この歳の私に、あの子は生きがいをくれたのよ。」と、ずっとそのスタッフに感謝されていたのを覚えています。賞を取ったお習字は、ご自分の部屋や施設の玄関に飾っていました。
レクリエーションの心得5. 喜んでもらうために介護職ができること
私の友達に介護施設で働きながら、数人でボランティアで施設を回っている方がいます。歌あり、ネタあり、踊りありと練習もきっちりやっています。毎回、新しいネタも用意して当日を迎えるらしいのですが、これはいけると思っていたところでシーンとなり、思わぬところで大爆笑だそうです。鉄板ネタも増えているようですが、何しろやってみないことにはわからないことも多いようで、それは私も大いに納得しました。次もまた来てくださいと声がかかることがとても嬉しいそうです。
レクリエーションの心得6. 身体と心に気持ちのいいレクリエーションを
もしやりたくないという利用者さんがいらしたら、どうしてやりたくないかをリサーチしてみるとわかることもあります。体の調子がイマイチだったり、やっているそのレクそのものがやりたくないこともあります。無理強いをすることはないですが、好きなことや趣味は何かを聞いてみることで、利用者さんがどう考えていらっしゃるかもわかることから、こういうのであればどうですかと提案できることもあります。生きがいを感じていただくためにもレクは大切です。
まとめ
介護は誰かがやらないといけない仕事で、この仕事を選んだときから、実はレクも重要なことの1つに入っています。日常の身の回りのお世話のイメージが強いですが、楽しみも喜びも分かち合えれば嬉しいですよね。
ライタープロフィール
おちゃみ
ワープロ、パソコンのインストラクターから介護士へ。
特別養護老人ホームでは、介護福祉士の資格を取得し、4年半ほど勤務。
祖父母の介護を10年以上し、自宅で看取った経験を持つ。