介護をしていると「誤嚥」という言葉をよく耳にすると思います。普段の生活では耳にすることのない言葉ですよね。似た言葉で誤飲という言葉もあります。今回はその違いや誤嚥の予防法についてお話します。
誤嚥と誤飲の違いって?
誤嚥は食べ物、飲み物、唾液等が食道ではなく喉頭と気管に入ってしまう症状です。喉頭は喉の気管につながる部分で、咽頭とは別の場所です。この誤嚥が肺炎に繋がることもあるのですが、似た言葉の誤飲とどう違うのかを説明します。
誤飲は読んで字のごとく誤って飲む事です。何を誤って飲むかというと有害なものや危険なものです。赤ちゃんが誤ってタバコの吸殻等を飲み込むのが有名ですが、高齢者も薬の包装や乾燥剤等を誤って飲み込んでしまうケースもあります。
誤嚥と誤飲の違いは、食べ物や飲み物が喉頭と気管に入ってしまうか、食べ物ではない体に有害なものを飲み込んでしまうかの違いです。誤嚥も危険ですが、誤飲は飲み込んだものによっては早急に対処しないと命に関わる場合もあります。
ですので、飲み物のペットボトルを再利用して何かを保管したり、食べ物と間違えそうな所に危険なものを置かないように気をつけましょう。
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嚥下(えんげ)・嚥下障害とは?
窒息の対処法と予防法
窒息とは飲み込んだものが詰まり呼吸が出来ないことを言います。誤嚥したものが詰まってしまうのも窒息です。
詰まってしまった時は反射で詰まったものを咳で出そうとしたり、胸を叩いたりすると思います。詰まったものを取り出すには咳が一番効果的なので咳ができるのなら咳をするように促しましょう。
咳ができず詰まったものが出せないが、こちらの呼びかけに反応がある場合は通報より先に異物除去を優先するように日本医師会で推奨されています。
異物除去には腹部突き上げ法と背部叩打法(はいぶこうだほう)がありますが、妊婦と乳幼児には腹部突き上げ法は行わずに背部叩打法のみ行いましょう。可能であれば腹部突き上げ法を優先し、異物が除去できるか意識がなくなるまで行ないます。逆に反応がなくぐったりしている場合は、心肺蘇生法を開始します。1人しかいない時は先に通報し近くにAEDがあれば先に用意し蘇生を開始しましょう。
このようなことにならないように大きい食材は小さく切って出したり、お餅等詰まりやすいものは出さない、もしくはよく噛むように促しましょう。
誤嚥性肺炎の対処法と予防法
誤嚥性肺炎は高齢者の方に多い病気です。誤嚥性肺炎の原因は誤嚥した食べ物が気管のさらに奥の肺まで入ってしまい炎症を起こしている状態です。食べ物自体も炎症の原因になるのですが、食べ物と一緒に入ってきた菌が食べ物を栄養として増殖し炎症を起こすこともあります。
通常の肺炎であれば発熱、咳、痰といった症状が出ますが、高齢者の場合これらの症状が出ない場合があります。その場合は周りにいる人達がよく観察し、なんとなく元気がない、一日中うとうとしている、食事中にむせる、喉がゴロゴロ鳴っている、唾液が飲み込めない、食事に時間がかかる、痰が汚れているといった症状がないか確認しましょう。
もし当てはまるものがあれば病院を受診して医師の診断を聞きましょう。もし、肺炎でなかったとしても何でもないとわかればそれだけで安心ですので受診することをおすすめします。
対策法としては誤嚥をさせないことです。誤嚥しにくくなるように誤嚥体操やマッサージを行うといいと思います。また、誤嚥した時に一緒に口の細菌も肺まで入ってしまうので口腔内を清潔に保つのも大切なことです。
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まとめ
誤嚥、誤飲、窒息、誤嚥性肺炎と全て様子を観察していれば防げる可能性があるものです。誤飲に関しては紛らわしい物を置かないようにしたりペットボトル等を再利用しない事で防げます。
誤嚥もその人に合った食事形態にすることにより防げますが、自宅での介護の場合食材を刻んだりペーストにしたりするのは大変だと思います。そういう時は介護食のレトルトも売っていますし、宅配サービスもあります。そういうものを活用しつつ負担にならないようにしてください。
また、万が一の時の応急手当はできて損はありませんので覚えておくと安心だと思います。
ライタープロフィール
ぶん
自宅で半身まひ、認知症の祖父を半年間介護。高卒で介護士を目指し介護職員初任者研修取得。病院で介護士として2年働き、現在は子育て中のため退職。