病院や介護施設で働く上でオムツ交換はほぼ必ずあります。夜勤をやる場合私がいた病院では1人で30人くらいの患者さんのオムツを交換しなくてはいけませんでした。
1人の方にかかるオムツ交換の時間は5分だとしても、30人のオムツを交換するとなると単純計算でも2時間半かかる計算になります。
1人の方にかかる時間を少しでも減らせればこの時間は短くなります。今回は私が学んできたオムツ交換を早くするコツをお教えします。
オムツ交換をする前に
手早くオムツを交換することを優先的に考えすぎて、患者さんや利用者さんの羞恥心を蔑ろにすることはやめてください。介護される側の方は好きでオムツをつけているわけではないのでかなり恥ずかしいはずです。ですので会話ができない患者さんだからといって無言でズボンを下げる、無言でオムツを開けるということは絶対やめてください。
またオムツ交換は基本的に2人で行うようにと指導されている施設もあるかと思いますが、ここでは1人でのオムツ交換のやり方を ご紹介します。自分の技量に合わないなと思った場合はやらないようにお願いいたします。
あくまでも私個人が実践していたものであり、このやり方なら確実に早くなるということでもありませんのでご自身に合ったやり方を見つけて患者さんと自分に負担のかからないやり方を見つけてください。
弛緩してる方のオムツ交換
弛緩してる方は筋肉が緩んでいる状態なので関節がぐにゃっとしてしまっています。ですがコツさえつかめばとてもオムツ交換はやりやすいです。
手順としては
1. 腰は上げられないので片手でお尻を持ち上げて、もう一方の手でズボンを下ろします。
この時お尻はほんの少し持ち上げるだけで大丈夫です。
2. ズボンを下ろしたらオムツを開けて陰部を清潔にします。
3. そして横に向ける時は倒したい方向と逆の膝を曲げて軽く押してください。
ベッド柵がしてあると思いますが、あまり端に向かって体の向きを変えると足がベッドから落ちることがあります。
4. 横に向けた後は片手を患者さんの腰に添え支えてあげると安定します。
5. そのうちに新しいオムツを当て体を上に向けます。
この際曲げていた膝がガクンと一気に倒れないように気をつけてください。また横に向ける事で尿が出てしまう方もいらっしゃるので、その点も注意してください。
6. 次に反対側のお尻を少し持ち上げオムツの端を整えてオムツを閉じれば終わりです。
一回で真ん中にオムツを当てられる方であればこのやり方でだいぶ時間が短縮されると思います。
7. 最後にズボンをある程度上げた後は再度しっかり横を向けて背中の服のシワを伸ばしてください。
この時次の体位交換の向きに向けてしまい、そのままクッションを入れると楽です。
拘縮してる方のオムツ交換
次に拘縮している方のオムツ交換です。拘縮してる方は弛緩している方と逆で体が固まってしまっています。拘縮が強い方は股関節が開いてくれないのでパットも当てづらいです。
足が拘縮してる方はそのままの足の状態で横を向いてもらうしかできないので、足が伸びきっていても両膝が曲がっていてもそのまま横を向けます。この時膝が曲がっている方はベッド柵に膝がぶつかってしまうこともあるので柵のところにクッションを置いておくと安心です。
また拘縮が強い方の中には仰向けが難しい方もいらっしゃいます。その場合は片手で膝を支えて陰部を清潔にするか、難しい場合は無理をせず周りの方を頼ってください。
陰部を清潔にできたら次は新しいオムツを当てます。拘縮があり、細身の方だと鼠蹊部に隙間ができやすいので女性の場合は吸収面を尿道口付近に密着させ、男性は陰茎巻きをすると漏れにくくなります。陰茎巻きはやってはいけないと決まっているところもあるようなのでご自身の職場に合わせてください。
オムツを当て終えたら弛緩している方と同じようにズボンを上げた後に背中を整えて体位交換をして終わりです。
まとめ
紹介したオムツの替え方を試す時はオムツ交換に必要なものを全部揃えてから始めてください。
また1人でのオムツ交換は手袋を途中で変えることが難しいです。ですので私はオムツ交換をする時は手袋を二重にし、清潔なオムツを当てるタイミングで上の手袋を取ってしまいます。下になってた方は綺麗だから、と思ってそのまま次の患者さんのオムツ交換で使うことはせず、しっかり手の消毒をしてから次の手袋をつけてください。
またできないのに無理にやろうとすると自分の体を痛めてしまうだけでなく、患者さんにも怪我をさせてしまう可能性があるので気をつけてください。
お互いが楽なオムツ交換をすれば負担も減るので2人でやる時も1人でやる時も患者さんを思いやる気持ちと自分の体を思いやる気持ちを大切にするのがうまくいくコツだと思います。
ライタープロフィール
ぶん
自宅で半身まひ、認知症に祖父を半年間介護。高卒で介護士を目指し介護職員初任者研修取得。病院で介護士として2年働き、現在は子育て中のため退職。