2012年10月から施行された派遣法により、日雇い派遣は原則として禁止されました。
ただし例外はあります。その例外と「日雇い派遣禁止の原則」とうまく付き合う方法について、ここでは紹介していきます。
日雇い派遣禁止の背景
そもそもなぜ、日雇い派遣は禁止されたのでしょうか?
それは派遣労働者における雇用の安定を目指すためです。
そしてそこには以下のような背景があります。
みなさんは「派遣切り」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
雇用側の都合により、契約期間内であっても派遣社員との契約を打ち切りにすることです。雇用側都合による派遣契約の一方的な打ち切りが許されるのであれば、派遣社員の雇用は安定しません。
この問題を解決するために、派遣法では日雇い派遣を中止したのです。
日雇い派遣を中止すれば、雇用自体が長期に渡り安定します。
それがこの「日雇い派遣禁止」の背景です。
どのようなものが「日雇い派遣」?
これは派遣元と派遣社員となる労働者の契約期間が30日以内のものが「日雇い派遣」とされます。31日以上であれば日雇い派遣としてはみなされず、派遣が可能になります。ちなみにパートやアルバイトは「派遣」ではないので、これには含まれません。
一日だけ、一週間だけの派遣は可能か?
上記の条件からすると、派遣元との労働契約が31日以上になれば、勤務先への出勤が一日だけ、一週間だけというのも可能という解釈になります。
派遣法にもその就業日数には明確な定めはありません。ですが、「社会通念上妥当」とされるような内容にしなければいけません。
「社会通念上妥当」とは
目安として言われているのが、
契約期間内の就業時間を週単位にした時、だいたい20時間以上になるようにすること
です。
厚生労働省の説明によると、就業日数が契約期間の一日だけ、全期間を通してほんの数日だけ、というのは「社会通念上妥当」とは言えないという判断となるようです。
※厚生労働省 参照ページはコチラ
よって契約期間を通して、極端に日数が少ない場合は、日雇い派遣法の違反となってしまう可能性があります。
ここが重要!3つのポイント
日雇い派遣(短期間の派遣)について重要なポイントは以下の3つになります。
1. 派遣元との労働契約が31日以上であること
2. 31日以上というのは、最初の就業日から31日以上であること
3. 就業日数に詳細な定めはないが、極端に少ない(就業初日と最終日だけ)というような契約は不適当とされる
目安:契約期間内の就業時間を週単位にした時、だいたい20時間以上になるようにすること
例えば、週に3日7時間の労働を4週間したい場合は、以上の点に気を付ければ可能になります。
一方、週に3時間の労働を4週間したい場合は、原則的には不可能と見なされます。
ですが、例外があるのです。
日雇い派遣の4つの例外
1. 60歳以上の方
2. 学生(昼間の学生で、雇用保険適用外の方)
3. 500万円以上の生業収入があり、副業として働く方
4. 世帯収入が500万円以上で、主たる生計者ではない方
つまり60歳を超えているか、もしくは日雇い派遣での労働だけで生活しなくても良い方に限るということです。
それは雇用の安定が「日雇い派遣禁止」の前提にあるからです。
日雇い派遣が可能な業務
上記の4つの例外に当てはまらなくても、以下の18種類の業務であれば、日雇い派遣は可能であると認められています。
・ソフトウェア開発
・機械設計
・事務用機器操作
・通訳、翻訳、速記
・秘書
・ファイリング
・調査
・財務処理
・貿易取引文書作成
・デモンストレーション
・添乗
・案内受付、案内※駐車場管理は除く
・研究・研究開発
・事業の実施体制の企画・立案
・書籍等の制作・編集
・広告デザイン
・OAインストラクション
・セールスエンジニアの営業、金融商品の営業
これらの特徴としては、
1. 一般的に日雇い派遣として根付いている業務
2. 「専門的な業務」と考えられる業務
であるという2点があげられます。
まとめ
介護職においては、日雇い派遣は禁止である場合が多いです。
介護職は専門的ではありますが、上記の認められている業務ではありません。
ただ労働者が60歳以上の場合であったり、上記条件内の副業としての場合であれば、日雇い派遣が可能であるということには留意しておくと良いでしょう。