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ケアマネジャー直伝!ケアプラン文例集③~認知症の方に寄り添うプランとは~

2018年6月22日 11:27

ケアマネジャーのお仕事

施設入所においても当然ながら、自立支援を基本にその上で個別性を反映したケアプランの作成は求められてきます。施設という閉鎖された空間の中でも、本人が活き活きとそれも主体的に生活できるようにプランを立案していくわけです。

ところが、認知症により意思疎通が困難となり、かつほぼ寝たきり状態ともなってくると、最終的にはほとんど同じような内容を網羅したケアプランばかりになってしまうことがあります。ここがケアマネージャーとしての悩みどころなのかもしれません。ケアマネージャーとしての経験を積めば積むほどに、先を見据えた見立てがある程度自らの体験等を通じて行えるようになるため、決して個別性をおざなりにしている訳ではないのですが、上記のような状態増の利用者のケアプランの内容はある程度パターン化してくるのは仕方がないことなのかもしれません。

さち子さんの場合

さち子さん(仮名)は「要介護度5」の女性です。ADL(日常生活動作)は全介助。認知症高齢者の日常生活自立度は「Ⅲa」。障害高齢者の日常生活自立度は「C2」。意思疎通は時々可能ですが、自己決定を行うことはできません。認知症もありますが、元来大人しい方であったためか、際立ったBPSD(認知症に伴う行動・心理症状のこと)もなく、安定した施設生活を送られています。また食事や余暇活動の場に「居る」ことはできますが、長時間の離床は体力的に難しく、更には食事摂取にも影響するため、施設生活では基本的には臥床を中心に過ごされています。

さち子さんを担当させて頂く際に注意しなければなかったことが、ご本人のニーズをどのように捉えていくかということです。ご家族からは「怪我や病気せずに、元気で過ごさせて欲しい」と伺っていても、それはあくまで施設サービスに対する要求であり、つまりはデマンドに過ぎません。

ここでご本人のニーズを意思疎通が行えず聞き取り困難等と位置づけてしまうと、ご家族のデマンドに応える形でケアプランが進行しかねません。健康的に過ごすことは誰しもが願うことであり、それは土台であり、前提条件として考えなければなりません(無論、医療ニーズが多分に存在している場合はこの限りではありませんが、その場合はそもそも対応機関を再考しなければならない可能性があります)。
そのためにはご本人の生活史を深み読み解き、少なくともご本人が望んでいたであろう生活像を、現実的に達成可能なレベルにおいて、実現することがケアマネジメントや提供されるサービスに求められてきます。

特にご本人の過去のことを紐解いていくわけですので、ご家族の協力は欠かせませんし、それを一体何の為に行っているのか、という理解も得ていく必要がありますので、ご家族との信頼関係が大きく影響してくる事柄になります。しかし、ご家族も場合によってはご本人のことをそれほど知らなかったという場合もあれば、関係性が想定した以上に希薄だったということもあるため、ご本人の生活史だけを深堀することだけに躍起になってしまうことも避けねばなりません。

ご家族からのヒアリング

さて、当時ケアプランを作成するためにご家族から様々なことを伺いながら、私がさち子さんのニーズとして注目は、「食べることが好き」「好きな食べ物は鰻」「出かけることが好きで、子供達が自立した後は、ご主人と国内を駆け回っていた」ということでした。
その他にも針仕事が得意だった、子ども頃は駆けっこで町一番だった等多くの事柄に関する聞き取りを行えましたが、少なくとも現時点のご本人でも達成できるものでなければ意味がありませんので、上記の3点にニーズの的を絞りました。

残るはそれを具体的にどのようにして実現させていくか、という問題です。食べることが好きとは言えども、当時はすでにミキサー食で介助が必要だったため、形ある鰻定食をそのまま出すわけにもいきません。無論鰻を購入し施設にてミキサーにかけて提供するという方法もあるでしょうが、「外出が好きなご本人は「お店のような空間で鰻を味わうこと」を望んでいるのではないかと考えケアプランを組み立てていくこととしたのです。

以下参考として文例を記載しましたのでご参考下さい。

長期目標

「○○のお店にて、鰻を目で見て味わうことができる」

目標に対する、サービス内容の一部として、ミキサー食のご本人様ですので、いくら鰻がやわらかいと言っても、嚥下困難な場合も十分想定できましたので、鰻のタレをミキサー粥にかけて召し上がって頂くということも入れていました。当時はST(言語聴覚士)とぎりぎりまで連携しながら、鰻を可能な限り形あるものとして召し上がって頂きたかったのですが、最終的には、「持ち込んだご飯に鰻のタレをかけて食べることができる」とせざる得なかったことを覚えています。

短期目標

短期目標としては、お店に行く為に健康的な日々を過ごして頂くことと、十分に体力や筋力を養っていただくことに着目し、


1. 30分以上、正しい姿勢を保ちながら、食事を食べることができる
2. 毎日、1時間以上離床することができる
3. 1日1回以上、スタッフと一緒にトイレに座ることができる

このような目標を立てた記憶があります。
今でも思うことは、確かに目標は大切ですがそれまでのプロセスがもっと大切なことだと思います。文言だけに囚われず、胸を張り、これがご本人が望んだ生活だと言えることこそが大切なのではないでしょうか。

ライタープロフィール

太郎丸
日本文学系大学卒業後、介護老人保健施設に介護士として就職。
介護士として3年目に「介護福祉士」を取得。
主に認知症介護に加え、口腔ケアや排泄ケアを専門に取り扱うようになる。
後、5年目に「介護支援専門員」を取得し、介護老人保健施設を退職。

退職後、有料老人ホームに介護支援専門員として再就職。
6年間常勤職員として、施設サービス計画書の作成の他、施設の運営等にも関わる。

有料老人ホーム退職後、主任介護支援専門員として地域包括支援センターに常勤職員として勤めるようになる。
現在、国が推し進める地域包括ケアシステムの構築のため、日夜邁進。

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