私が、
ケアマネの資格を受ける決意をした経緯、
実際合格を目指し頑張ってきた経験談、
合格した上での勉強中の振り返りを私流にお話したいと思います。
ケアマネの資格を受ける決意をした経緯
当初私は、特養の現場で寮父として働いていました。療養型の病院でケアワーカーとして働いていた経験を活かし、『病院ではない施設で、療養生活のサポートではなく、生きがいをサポートしたい』という思いで、転職しました。
私のキャリアは、病院で勤めていた時代も含めると6年強と決して短いものではありませんでした。しかし中途採用であり、この施設育ちではないということもあり、出世に恵まれず、尽く惨めで残念な評価を受け続けてきました。
キャリア半年でも、先にこの施設に入職していれば先輩。
介護福祉士歴1年でも、先に入職していれば大ベテラン。10も違う年下の、キャリアも少ない先輩を立て、提案しても跳ね除けられ、悔しい思いをして、ひたすら働き続けてきました。
ただ私の心の中に図太い芯が根付いていて、周りからの評価は得られなくても、自分を客観視した上で『決して低くない介護士だ』と自分を信じ続けることが出来ていました。
この悔しい期間を辞めることなく耐えてこれた理由として妻の支えもありました。
病院から施設へ
熱い希望と期待を胸に転職した私を後押ししてくれた妻をがっかりさせたくない。
そんな思いから、気安く『辞めたい』という言葉が出ませんでした。
病院時代は、介護職の主任的役割を任され、勤務表作成も手がけ、会議の議事録作成、司会進行等も任されていたにも関わらず、今ではキャリアもままならない若手に後輩扱いされ、主張も抑えられ謙虚に一職員に徹っしている。
そんな状況から、抜け出る方法はないか?
と考えた時、『これだ!』という起死回生の切り札が思いつきました。
それが介護支援専門員の資格へのチャレンジです。
現職の特養では、働いて間の無い職員ですが、業界歴が長い為、ケアマネの受験資格は先に来たのです。
正直『ケアマネに成りたい』という思いから思い立った発想ではなく、『見返してやりたい』という思いから、受験勉強を始めました。
勉強を振り返る
デイの相談員やヘルパーの責任者などをしていれば介護保険のルールがある程度スッと入ってくるのだと思うのですが、現場経験しか無い状態での勉強な為、在宅サービス云々と出てきても理解するのに一苦労で先の見えない状況でした。正直勉強し始めは、『本当に受かるかな?』と疑心暗鬼でしたが、キャリアの短い先輩からの残念な指導を受ける度に、『この借りは、合格で返す』と奮起し、頑張り抜くことが出来ました。
参考書を一通り覚え、また新しく買った参考書のわからない情報のみを追加で覚え、また更に参考書を買い同じことをしました。
次に過去問の本を一冊買い、全年度100点取れる状態に繰り返し解き、最後に模擬問題集も同じことをして、全部100点取れるように繰り返し解きました。
本来ここまでしなくても合格できるのかも知れませんが、私はここまでしないと納得できなかったのでここまでしました。
どうせ受けるのであれば1発合格を目指したかったからです。
ちなみに、この受ける年に同じ施設で私も含め5人受験しました。
そんな中運命の日を迎えました。受験前に同僚から受かる自信を聞かれました。それに対し私はこう答えました。
『受かる自信がある。』実際に受かる自信はありましたが、あえて謙虚な返答をしなかったのは、『自分の努力を自分で見下げたくない』『頑張った自分を素直に自分自身で認めたい』という思いからでした。
実際の試験もかなり手応えがありました。自己採点でも合格。当然実際に合格も出来ました。
受験した5人中合格者は私も含め2人。
3人落ちてしまいました。落ちた人の中には、副主任という肩書の人も含まれていました。
こうして私の儚い下剋上が実現しました。
その時の達成感は計り知れないものがあり、自分自身の人生を振り返ってみても、トップクラスにくる栄光となりました。
動機は不純でしたが、こうして合格という形で、幕を閉じることが出来ました。
ケアマネ試験に合格して
しかし、その後どうするか?という課題が残りました。
私はあえて現職で留まるのではなく、退職し、居宅ケアマネになる道を選びました。
勉強当初は居宅ケアマネになる事を前提に受験した訳ではなかったのですが、実際勉強しケアマネの業務を把握していく中で、興味と関心が湧き、やってみたいと感じるようになったからです。
一番興味を抱いた点は、ケアマネの質を評価するのは、嫉妬深い上司や先輩ではなく、親切にされた利用者本人。
良いイメージを抱いて下されば、良い形で近所に口コミをして頂き、次のお客さんに結びつく。つまり誰に気に入られながら、どう気を使って点数を稼ぎ、立ち位置を良くしながらライバルを蹴落とす。などと策略を企てなくても、自ずと実力さえあれば評価されるそんな魅力を感じました。
仕事熱心で利用者受けも良い人であれば、変に椅子取りゲーム(出世の心理戦)が下手でも評価されるこの単独評価のケアマネに魅力を感じ、今も尚、居宅ケアマネを続けています。
苦しい思いもしましたが、計画的にちょっとずつハードルを超えていき、試験の当日までに合格ラインまで到達し、試験当日の体調が良好になることにも気を配り、当日遅刻しないよう会場の近くのホテルに泊まり、開始1時間前には席に着いていました。
勉強の波に乗るまでは、自分の弱い心にムチを打って、生活習慣の改善に苦労しましたが、勉強をする習慣が常態化してからは、苦もなくクールにこなしていくことが出来ました。
何事も中々思い通りに進まないものですが、ケアマネの試験は、私にとって成功体験の一つとなり、生きる上での自信に繋がりました。
医療・福祉系で一生食べていく予定がある人でしたら、一度受けてみるのも良いと思います。
ライタープロフィール
モカ・マロン
介護業界で20年勤める
取得資格 社会福祉主事任用資格 介護福祉士 介護支援専門員