介護施設などでは毎年多くの数の高齢者が亡くなります。遺族の方は深い悲しみや、今日まで生きていてくれた満足感など様々思いを持っています
悲しみを持った遺族をケアするということは近年重要視されてきており、グリーフケアなどとも言われています。遺族ケアは介護施設では非常に大切なことですが、どのように遺族ケアを実施していけば良いのか分からないという方もいます。
ここでは遺族ケアの大切さや、実際に行うポイントなどについてご紹介していきます。
遺族ケアは亡くなる前から始まっている
遺族のケアは遺族に行うものですから亡くなった後からケアをしていくという考えの方も多いですが、実際は遺族ケアは本人がまだ生きている時から始まるのです。
いわゆるターミナルケアをしている時から、遺族ケアは始まっていると考えておきましょう。
遺族の中でも悲しみを持ちやすいケースとしては、ターミナルケア時にきちんと側にいてあげられなかった、残された時間を最期まで一緒に過ごすことが出来なかった場合に起こりやすいです。
その為出来るだけご家族と本人との時間を持ってもらうようにすることが大切です。私が介護施設で働いていた時に、提案として自宅に数時間でもいいから帰ることをご家族に投げかけました。介護タクシーや付き添いのヘルパーを手配して、家族と一緒に自宅で数時間過ごしてもらいました。
本人はもちろん、家族も「最後にこんな良い時間を過ごせてよかった」と満足そうにお話されていました。
実際自宅に帰ることは難しいケースが多いですが、家族と特別な時間を過ごしてもらうことは良いケアに繋がりますので意識をして行うことが必要になります。
残された家族に対するケア
遺族は残された家族です。死を受け入れられない、後悔ばかり残るという気持ちを持っていることもあります。ケアをする側としては死を受け入れて前向きになってもらいたいと思いがちですが、無理にそういった方向に勧めていく必要はありません。
まずは家族の思いを引き出してそれを受け止めることが必要になります。気持ちを引き出すことをポイントにしておきましょう。思いを引き出すことにより、家族自身は思いを吐き出して気持ちが楽になるケースもあります。
お勧めは家族会
それでは介護施設で実際に遺族ケアをするとなるとどのような方法があるのでしょうか。
近年では葬儀会社などが家族会と呼ばれる遺族の家族が集まってお話をする会を開催しています。それを介護施設で行います。
私が実施したのは、5年間の間に亡くなったご家族に対して郵便で遺族会を実施する旨を送付し、参加を集いました。集まったのは10組です。施設の空部屋を利用し、お茶などを飲みながらそれぞれ亡くなった時の状況、その後の思いなどをお話して頂きました。
その時に思ったのは「思いの共有」の大切さです。私だけが悩んでいると思っていたらと同じような境遇の人も居て安心した。悲しみの乗り越え方を聞いたので実施したいと思うなどの言葉を頂けました。
共有をすることによって悲しみの負担が軽減することが分かりました。
今では家族会は定期的な行事となり、4年以上開催を続けています。
まとめ
現在では家族の関係が希薄になりつつあると言われていますが、やはり亡くなった際の家族の悲しみはいつの時代も同じであり、多くの方が悩み苦しんでいます。家族のケアは介護施設にとって直接的な仕事ではありませんが、実施をすることによって家族の思いがわかり、今現在のケアにも生かしていけることが分かります。
まだまだ実施している介護施設は少ないですので、もしやっていない、家族ケアに興味がある場合は是非実施していくことをお勧めします。
ライタープロフィール
Kokko0320
介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士を取得しています。
介護についての情報や私の経験談など、現在介護をしている方はもちろん、これから介護を目指している方にわかりやすくご紹介していきます。