脳の血管が詰まってしまう脳梗塞には、「一過性脳虚血発作」という前兆症状が見られることがあるのを知っていますか?「一過性脳虚血発作」とは、一時的に手足のしびれやろれつが回らないなど、脳梗塞と同じ症状が見られることを言います。一過性脳虚血発作の多くが、数分から30分程度でおさまるため病院に行かずに様子を見る人も多いでしょう。しかし、一過性脳虚血発作を起こした人の約7%が2日以内に脳梗塞を発症しており、見逃せない前兆症状と言えます。そこで今回は、一過性脳虚血発作と脳梗塞についてお伝えします。
一過性脳虚血発作とは?
一過性脳虚血発作とは、手足などの麻痺や言葉の喋りにくさなど、脳梗塞と同じような症状が見られるものの、しばらくすると症状が消えて元通りになってしまう状態を言います。数分~30分で元の状態に戻るため、大したことはないだろうと様子を見ている人の方が多いでしょう。実際に、一過性脳虚血発作を起こした人のうち、すぐに病院を受診する人は全体の5割という統計が出ています。しかし、この一過性脳虚血発作を起こした人のうち、その後に脳梗塞を起こした人は脳梗塞患者全体の約3割、そのうち約15%が3カ月以内の発症です。さらに怖いのは、3カ月以内に発症した人の半数が、一過性脳虚血発作を起こした2日以内に脳梗塞を発症していること。
つまり、一過性脳虚血発作を起こすと近いうちに脳梗塞になる確率が高いのです。ですから、脳梗塞と同じ症状がみられた場合には、症状がすぐに消えてしまっても、必ず病院を受診するようにしましょう。
脳梗塞の前兆はコレだ!
脳梗塞の前兆症状を知っておくと、脳梗塞になった場合でも早期治療につなげることができます。特に、発症から4時間30分以内であれば、経静脈血栓溶解治療を受けることが可能になります。この治療を受けた患者の約4割がほとんど後遺症なく日常生活を送れています。つまり、脳梗塞は早期発見が早期回復の鍵と言えるでしょう。脳梗塞の前兆症状は以下の通りです。なお、一過性脳虚血発作もほぼ同様の症状が出ます。
・片方の手足がしびれる
・ふらついたり、足がもつれる
・足を引きづっていると言われる
・手足に力が入らない
・よくつまずいたり、物にぶつかる
・ろれつが回らない
・言葉がとっさに出てこない
・他人の言うことがわからない
・ものが見えにくい
・急にめまいがしだした
このような症状が1つでもあれば、脳梗塞の疑いがあります。すぐに病院を受診しましょう。
脳梗塞を予防するには?
では、脳梗塞にならないためにはどうしたらよいでしょうか。脳梗塞を予防するためには、規則正しい生活を送ることが大切です。食べ過ぎには注意し、塩分を控えましょう。また、野菜や果物に多く含まれているカリウムもしっかりと摂取します。お酒を飲む人は、量に気を付けます。飲酒量1日の目安は、日本酒で1合、ビールなら中びん1本以下です。タバコはやめましょう。また、ウォーキングなどの適度な運動も効果的です。もし、すでに高血圧や糖尿病などの疾患を持っている場合には、治療を継続し持病を悪化させないようにしましょう。さらに、脳梗塞は不整脈がある場合には発症リスクが高くなります。心臓に不安がある場合には、定期的に心電図検査を受けた方が良いでしょう。
まとめ
脳梗塞は、前兆症状が見られる病気です。早期発見ができれば、後遺症を残さず元通りの生活に戻れる可能性もあるでしょう。特に、一過性脳虚血発作が見られた時には脳梗塞の可能性が高くなります。脳梗塞は早期発見早期治療がその後の生活に大きく影響します。手足のしびれが見られるなど、いつもと違う様子が見られた時には、症状が一時的であってもすぐに病院を受診し、早期治療につなげましょう。
ライタープロフィール
中村 楓
フリーターから介護の世界に入り、3年の経験を経て介護福祉士を取得し、今年で介護職は13年目。
2度の産休育休を挟みながら、介護の知識や技術を学ぶため、福祉住環境コーディネーター2級を取得。また、ポジショニングや口腔ケア、認知症介護実践者研修など多数の研修にも参加している。
今後は介護支援専門員を目指して勉強中。