今回は、「社会の理解」分野からの出題を2問詳しく解説いたします。
学習の進め方のポイントも併せてご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
健康長寿社会
健康長寿社会に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1. WHO(世界保健機関)が定義している「健康」とは病気や障害がないことである。
2. ロコモティブシンドローム(運動器症候群)対策は、健康寿命を延ばすために重要である。
3. 日本における平均寿命と健康寿命の差は、2010年(平成22年)時点の男性が約5年、女性が約8年である。
4. 日本におけるがん(cancer)の部位別にみた死亡者数は、2014年(平成26年)時点では男女ともに胃がん(gastric cancer)が最も多い。
5. 「健康日本21(第2次)」における飲酒に関する目標には、未成年者の飲酒防止は含まれていない。
(注) 「健康日本21(第2次)」とは、「21世紀における第2次国民健康づくり運動」のことである。
正答
2
解説
この問題は、統計データの分析や国が取り組んでいる政策など、ニュースや新聞でもよく取り上げられる事柄です。目の前の事だけでなく「社会全体」としての取り組みや傾向、データについては日ごろから関心を持っておくことが大切です。
1.×
WHO(世界保健機構)で定義されている健康とは、「病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいう」としているため、誤りです。
2.〇
最近よく耳にするロコモティブシンドロームとは、「骨や関節、筋肉などの運動器の衰えが、歩行や立ち座りといった日常生活動作に障害を起こしている状態」を指します。近年の平均寿命が延びているとはいえ、健康的な生活を送るためにも普段から運動器の機能維持が必要となります。
3.×
健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間を「健康寿命」といいます。健康寿命と平均寿命との差については厚生労働省が毎年発表している「簡易生命表」などで確認することができます。そのデータによると、平成22年には、男性が約9年、女性が約13年となっています。
4.×
国立がん研究センターがん対策情報センターのデータによると、2014年では男性では肺がんが最も多く全体の25%を占めている。女性では大腸がんが全体の15%で最も多い。
5.×
「健康日本21」では生活・社会環境の質の向上に向けて取り組むことにより、10年後にはすべての国民が健康で幸せに暮らせる社会であることを目標に掲げています。その中のひとつである「生活習慣の改善」では、未成年者の飲酒防止も含まれています。
日本の社会保険制度
日本の社会保険制度に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1. 加入することは、個人が選択できる。
2. 被保険者だけの保険料だけで運営される。
3. 医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険の5つである。
4. 給付の形態は、現金給付に限られる。
5. 加入者個人のリスクに見合った額の保険料を支払わなくてはならない。
正答
3
解説
「社会保険制度」と聞くだけで苦手意識を持ってしまう方も少なくないかもしれませんね。しかし、保険制度に関する出題は必ずありますし、介護福祉士という資格の性質上きちんと理解しておく必要がありますので、くじけずにトライしていきましょう。
学習を進めるうえでのコツは、まず、「社会保険制度」の大まかな概要から学習を進め、少しづつ細かい項目に着手していくといいですね。
1. ×
一定の要件を満たした場合は義務的に加入しなくてはならない「強制保険」であることが社会保険の特徴です。したがって、個人が「加入する、しない」を決めることはできません。
2. ×
加入している人を「被保険者」といい、被保険者は保険料を負担する義務があります。社会保険は保険料だけで運営されるわけではなく、公費負担もあります。
3. 〇
選択肢の説明の通り、日本における公的な社会保険は5つです。
4. ×
「給付」とは、けがや病気、出産、要介護状態にある人等に対して必要な現金や現物を支給することを言います。ここでいう「現物」とは、例えば医療保険であれば「治療や薬剤の処方」、介護保険であれば「介護サービスを利用すること」になります。
5. ×
社会保険制度は所得に応じた保険料を負担することが原則です。リスクが高い(給付を受ける可能性がある)人が多く保険料を負担する、という仕組みではありませんね。
まとめ
いかがでしたか?
私たちの暮らす日本では、「国民が健康に暮らす社会の実現」に向けて様々な取り組みがなされています。介護福祉士として超高齢化社会の現状や保険制度を知っておくことは、必須ですのでしっかり押さえておきましょうね。
ライタープロフィール
結のそら
むすびのそら。
介護福祉士や介護支援専門員として約20年介護業界に携わる。
取得資格:社会福祉主事、介護福祉士、介護支援専門員、主任介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター3級