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デイサービスで出会った利用者さん~100歳のお祝い~

2017年12月1日 10:53

介護のお仕事で出会った印象的な利用者様

今回お話するのは私がデイサービスに勤めて、初めて100歳のお祝いをさせて頂いた利用者様のことです。

最初の印象

私がデイサービスに勤め始めた頃、その時指導して下さった方が利用者様のお名前と特徴を合わせて覚えていくことを教えて下さいました。
例えば『熊みたいに大きい〇〇さん』『パンチパーマでおしゃれな〇〇さん』 『お風呂上りはいつもきれいにお化粧直しをする〇〇さん』『昔学校の先生だったから言葉遣いが丁寧な〇〇さん』みたいな感じです。

そして今回お話する利用者様のことは『ここのデイサービス内で最高齢の〇〇さん』と教えて頂きました。
その時丁度98歳か99歳で、本当に100歳目前の女性の利用者様でした。
(以後Kさんとします)
認知症もそんなにひどくなく、お話をすれば普通に会話できるとても元気なKさんでした。
 

100歳目前には見えないほど元気なKさん

Kさんは私が出会った頃、まだシルバーカーを使用ししっかりと歩いておられましたし、ADL(日常生活動作)もほぼ自立しておられました。
入浴も一般浴で手引き歩行で軽介助程度でしたし、着脱衣もご自身でしっかりと行えていました。

レクリエーション等身体を動かすこともお好きで、一番印象的だったのは毎月その月のお誕生日の方をお祝いする誕生日会で歌を歌って下さっていたことです。

「お前100までわしゃ99まで~♪」という歌詞だったと思います。
歌う前には必ず「悪声ですが聴いて下さい(咳払い)。」と言って歌い始めておられました。

お世辞にも上手い!とは言えないぐらいしゃがれた声ではありましたが、デイサービス内で最高齢の方から送られる歌というのは何とも感慨深いものがありました。

唯一の困りごと

普段からとても穏やかで、他の利用者様とも仲良くされていたKさんですが、1つだけ困りごとがありました。
それは、食欲が旺盛だったことです。

高齢で食欲があるなんていいじゃないの!と思われる方もいるかもしれませんが、一概にそうとは言えないのです。
例えばその方が持っている持病や、歳を重ねる事によって表面は元気でも内蔵関係は徐々に機能低下していきます。

Kさんは心臓にあまり負担をかけてはいけないということもあって、食事は10割提供ではなく7割程度の提供で、他の方よりも少な目でした。
そうしないと、身体に負担をかけてしまったり食べ過ぎによる多量の排便で、血圧の上下が激しくなり意識消失してしまうからです。

実際に何度かトイレで意識消失して、職員が脚立を使ってよじ登り、トイレの内鍵を開けて救出したという事もありました。
その度に「食べ過ぎは良くないですね。」と話をし、その時は納得されるのですが、お腹がすくとさっきの話はどこへやら・・・という状態でした。

また別の日には、同じお席でいつも食事を残される方がめずらしく完食しておられ、随分前に食べ終わって下膳したはずのKさんの口元を見ると口がモゴモゴ・・・。

もしや?!と思い、同じお席の方に「Kさんに食事とられたんじゃないですか?」と伺うと、「とられたんじゃないの。あげたの。」と言うではありませんか。
ですが過去にも何度か同じお席の方の食事を、例えるならばリスの様にすばしっこくとってご自身の口に詰め込む行為をされていたので、またKさんがとったんだな・・・という事はすぐに分かりました。

100歳のお祝い

そんなKさんも大きな体調の変化もなく、100歳を迎える事が出来ました。

100歳を迎えると市町村から紅白饅頭が頂けたりする様ですが、食べ過ぎはダメとの事で、デイサービスでも食べ物のプレゼントはせずに、レイ(首飾り)でKさんの首回りを華やかにして、花束と一緒に撮った写真を額に入れてプレゼントしました。
そして施設長からのお祝いの言葉と、Kさんが一番のお気に入りだった職員からのお祝いの言葉で、とても素敵な笑顔を見せて下さっていました。

そして「今一番欲しい物は何ですか?」の質問に「美味しいものをたくさん食べたい!」と何ともKさんらしい答えで、周りを笑わせて下さいました。
100歳を迎えたKさんですが、やはり毎月のお誕生日会では「お前100までわしゃ99まで~♪」の歌を皆さんにプレゼントして下さり、「Kさんもう99過ぎたで~(笑)。」というつっこみも交えながら1日1日を穏やかに過ごされていました。

転倒による骨折、そして・・・

100歳を過ぎてもシルバーカーを使って歩いておられたKさんですが、自宅で転倒し、骨折してしまいました。
ただ年齢の事も考え、手術は出来ないとの事で固定のみで様子を見ることとなりました。

その瞬間から入浴は機械浴での対応、シルバーカーから車椅子生活へ変更と色々な事に対しての対応が急に変わっていきました。
そうなると今まで自宅で頑張って介護をしてこられた家族の方も限界を感じたようで、老人ホームへの入居を検討し、意外と早い段階での入居が出来ました。
Kさんが入居した老人ホームは、私が勤めるデイサービスの併設老人ホームだった為、時々はKさんのお顔を拝見することもありました。
元々認知症はなかった為、老人ホームの方でも比較的穏やかに過ごされているのを見て安心していました。

老人ホームへ入居して1年ほど経った頃でしょうか・・・、あれほど食欲旺盛だったKさんが、食事を摂れなくなってきたとの報告を耳にしました。
もう100歳も超えていたので無理もないかもしれませんが・・・。

いよいよターミナルケアという段階に入った時に老人ホームの職員が、「死ぬのが怖いとKさんが言っている。」と話しているのを聞き、「最後までしっかりとされているんだな・・・。」と感じました。

その後まもなくKさんは静かに息を引き取られました。

老人ホームで亡くなられた方のお見送りは、デイサービスの入り口前を通られるので、デイサービスを利用していて老人ホームに入居された方が亡くなられた時は、業務を抜けられる時間帯であればデイサービスの職員もお見送りに出ます。
Kさんの時も、お見送りのタイミングが合ったのでデイサービスの職員も何人かお見送りに出ました。
食欲旺盛だったKさん、今頃は天国で美味しいものをたくさん食べて笑顔で過ごされているといいなと願っています。

ライタープロフィール

りらくま
7月生。
平成21年に現在の仕事に就き、平成25年に介護福祉士の資格を取得
後生活相談員として現在も仕事中。

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