特養に入所となったとき、ご家族さんからの希望で「リハビリを中心にしてほしい。」と言われることは少なくありません。
心配をされるのはよくわかるのですが、リハビリという意味では特養のイメージはあまりよくないのか、または想像しにくいのかもしれません。
生活がリハビリという考え
リハビリといえば歩行訓練や、筋力増強訓練を想像するのではないでしょうか。老健やリハビリ病院のほうが、そういったリハビリは確かに充実しています。それは特養が基本『生活の場』でリハビリをする時間がどうしても限られてしまうからです。
でもそれは特養の介護度が3~5と高めであるため、歩行訓練を実施するような利用者さんがほぼいないこともあり、運動や訓練をするというよりも生活の中で行う動作の中にリハビリとして取り入れていくという考え方になります。
特養でのリハビリは利用者1人ずつに対して、週2回ほどのマッサージやトレーニングなどを行います。そういった状況からも積極的に行っているようには見えないので、ご家族からすれば若干頼りなく思われることもあるかもしれません。
ですが寝たきりの利用者さんには関節可動域訓練という予防、嚥下訓練などもリハビリにあたります。
機能訓練指導員とは
近年では特養でも職員配置規定で、1つの施設の中に1名以上の機能訓練指導員を配置することになっています。リハビリも理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、看護師、准看護師など、機能訓練を専門的に行えるスタッフのことを機能訓練指導員と呼び、そのいずれかの資格を持つ人のことを言います。あくまで職種なので、機能訓練指導員という資格があるわけではありません。
機能訓練指導員は3ヶ月に1回程度「機能訓練計画書」をつくります。これは介護計画とはまた別で、介護職やご家族の意向が反映された内容になり、リハビリを行います。
ですが大きな施設では、機能訓練指導員が1人ではとても手が足りないことから、機能訓練指導員からの指示を受けて、介護職がリハビリを行うこともあります。利用者一人一人の特徴と生活をする上で、何をすればリハビリにつながるかを介護職は理解して、スタッフ全員で取り組んでやっていきます。
歩行訓練としてトイレまで歩いてもらう、ベットから車椅子への移乗や、立位の練習もリハビリとなり、そういう意味ではリクリエーションも介護職が行えるリハビリの1つとなります。
訪問サービスについて
訪問サービスには理美容なども含めると実は他にもいろいろあります。特養に入所するにあたって聞かれるのは、今までお世話になっていたマッサージの先生を施設に呼びたい、外出をして受診したいとおっしゃる利用者やご家族です。自宅に訪問してできるリハビリは、特養に入居しているんだから在宅扱いにはならないの?という疑問が出てきますが、『在宅』扱いとなるのが「サービス付き高齢者住宅」と「在宅型有料老人ホーム」の2つです。
特養に入居してマッサージを受けたいとなると、施設の機能訓練指導員が担当することになり、原則として外部からの提供はできないことになっています。またマッサージ等の機能訓練指導員がいない施設では、外部から定期的に来てもらっている場合や、個人的に契約という形で来てもらえることもあると聞きます。
訪問リハビリのマッサージなどは医師の診断書が必要となり、医療保険が適応ですが、場合により自費になることもあります。入所の際に疑問点や希望も含めてケアマネに相談しましょう。
納得のいくように
特養でもリハビリを重視したいという方は看護師の配置人数や、どういった機能訓練指導員がいるかを調べたり、確認するのがいいかもしれません。利用者の身体機能の維持をしていくためにもリハビリは必要で、近年は施設によって機能訓練指導委員も、数人配置しているところもあります。遠慮せずに施設側に詳細を聞いてみてください。
ライタープロフィール
おちゃみ
ワープロ、パソコンのインストラクターから介護士へ。
特別養護老人ホームでは、介護福祉士の資格を取得し、4年半ほど勤務。
祖父母の介護を10年以上し、自宅で看取った経験を持つ。