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介護職体験談:印象的に残っている利用者さん その1

2017年8月28日 13:42

介護職経験談

その利用者さんはスタッフの中でも人気の癒やし系の方で、ご家族さんとスタッフの関係も良好でした。
しっかりと意思の疎通ができたおじいさんのエピソードです。

明治生まれのおじいさん

陽気で甘いものが大好き、特にキャラメルがお気に入りでした。「甘いものをちょうだい。」と1日に何度か頼みに来られるのです。車いすに乗り、自分の足で進みながら疲れた場所で一休み、穏やかに自分のペースで過ごすことができた、数少ない方のおひとりでした。

戦後のシベリアで抑留の体験をお持ちで、そのことに関してあまり語ることはなかったのですが、あるとき戦争の話になり「左目はもうほとんど見えないけど、右目は見えるからまだ鉄砲は打てるよ。」とおっしゃったことがありました。

正直なんと声をかければいいか一瞬うろたえましたが「よくご無事で帰られましたね。」と伝えると「そうかな。」とポツリ、その一言にどういう意味合いが込められていたのか今もわかりませんが、この会話が一番印象に残っています。

一見わかりにくい貧血

排泄は1人介助で大丈夫な方だったのですが、ある時「ダメだ!」と言い、力がふわっと抜けたのを受け止めたことがありました。のちに貧血が進んでいることがわかったのです。高齢者はどうしても栄養的に偏りがちですし、貧血は知らない間に進みます。またそれが一見してわかりにくいです。

そしてその方のふわっとなる頻度が増していき、倒れるということも出てきました。そうなると顔色も白く活気もありません。医師やご家族と相談をしての結果、少しでも楽になるのであればと輸血をすることになりました。輸血をすると顔色は戻り「甘いものをちょうだい。」とまた頼まれるとホッとしたものです。

ただ、貧血とは別に起立性低血圧もあり、急な体調の変化に気をつけないといけないことも増えていきました。臥床のときには足を少し上げておく、離床介助はもちろんゆっくりと、その方の体調により無理にならないよう2人介助ですることになりました。ほかに排泄後や食後もそうですが、そういったあとの血圧の変動からか気を失う、急に車椅子からずり落ちるなど目が離せませんでした。
それでも輸血をすると元気が出るようで、それが逆に無理にならないかヒヤヒヤしならが見守る日々でした。

感染症に対する対応と予防

その利用者さんはB型肝炎で、介護をする上で出血には気をつけていました。どこの施設もB型肝炎、C型肝炎といった血液媒介型のウイルス感染症の利用者さんは割といらっしゃいます。私が働いていた施設ではインフルエンザの予防接種はすることに決まっていましたが、B型肝炎に関しては標準予防の他には、そのとき何も決まっていませんでした。

一般よりも介護職は感染に関してリスクが高いであろうということで、予防接種をしたほうがいいのではないかという話題が出ましたが、結局、日常生活での感染はないとされ、B型肝炎の予防接種は任意になりました。この点に関しては各施設で考え方が分かれているようです。

ご家族の希望も含め一緒に考える

そしてこの利用者さんは、体調が落ちてくると輸血をするという治療方針になりました。甘いものが好きだったこともあり、食事でも甘いパンを好まれました。意思の疎通ができる状態だったので、それがご本人の希望であり、食べられるのであれば、好きなものを好きなだけ食べてほしいというご家族さんの意向に沿ってのサポートをしていくことに決まりました。

ご本人やご家族の心の準備のできないまま、究極な話をせざる得ないこともあります。また決めていた方針が変わることもありますが、本当にこの利用者さんに関しては、それぞれの立場から考えて出た提案が、その時その時で全会一致し介護をすることができました。

年齢でなく心の若さで生き生きと

歳をとっていく、できていたことができなくなるというもどかしさを感じている利用者さんが多い中、この方はご自分を上手に受け入れ、今ある環境の中で楽しまれているように見受けられました。
「これだったらまだできると思うよ、こういうことなら手伝うよ、得意だよ」と。

実際には難しいこともあるのかもしれませんが、よく声をかけてくださいました。
スタッフにとっては疲れが吹き飛ぶ瞬間です。そういう意味では、私のほうが随分とお世話になったと思っています。

ライタープロフィール

おちゃみ
ワープロ、パソコンのインストラクターから介護士へ。
特別養護老人ホームでは、介護福祉士の資格を取得し、4年半ほど勤務。
祖父母の介護を10年以上し、自宅で看取った経験を持つ。

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