じめじめとする梅雨も体調にむらが出るので心配ですが、それが終わった途端夏の暑さ対策に悩まされることになります。介護に携わっていると熱中症や脱水症状の心配など、高齢者の方や利用者さんが水分を取れているかどうかが一番に気になるのではないでしょうか。
真夏の介護・在宅編
祖父母を自宅で看取れたのは、他に持病がなく入院などもしなかったことが大きい要因ですが、今ほど熱中症と騒がれてはいなかったとはいえ気は遣いました。
祖母は認知症だったのですが、もともとの癖で水をガブ飲みするという行為は忘れずにいてくれました。ですが逆に水分の取り過ぎからくる「むくみ」など気にしたのを覚えています。
ところが祖母とは逆に心配だったのは、しっかりしていた祖父です。「暑くない。」「喉は乾いていない。」と自分の感覚から水分を取らないので、気を揉むこともしばしばでした。好きなものなら飲めるかなと、温めた牛乳を用意したりしましたが、今思えばどうだったんでしょう…。
暑いときに温めた牛乳は飲む気になったでしょうか。元気なときは年がら年中、好んで飲んでいたことから思いついたのですが、落ち着いて考えると自分の選択が正しかったのか、自信がなくなる時もあります。
この他、在宅では口当たりのいいフルーツや、お味噌汁をしっかり飲むことで補おうと考えて夏を乗り越えていました。
真夏の介護・施設編1
快適に過ごせるようにと温度や湿度にも気を配りますが、服装ひとつにしても本当に快適なのかどうかの判断は難しくて、ちゃんとできていたかどうかわからないのが本音です。
まずは最低限、脱水しないように水分量や尿量のチェックしていますが、日ごろから水分補給が難しい利用者さんもいらっしゃいます。そういった場合は本当に苦労しましたし、これは介護する者の大きな悩みの1つだと思います。
施設では食事以外に最低1000㏄の水分を、それが無理でも800㏄はとってもらっていました。じっくり時間をとってお茶を勧めてみたり、ご家族に連絡をしてジュースやアイスクリームなどの購入のご相談したこともあります。そうでないとお風呂がきっかけで脱水にもなることもありますから、何より日ごろからの予防が大切とスタッフ全員が考えていました。
真夏の介護・施設編2
また暑いにもかかわらず、寒さを訴える利用者さんもいます。毛布を手放せない方などがいらっしゃっても、体に触れてしっかり汗ばんでいるのがわかると飲み物を勧めます。脱水になれば肌がじっとりとするというのを聞いたことがあったのですが、それが危険な状態かの判断は、例えば手の甲の皮を引っ張ってなかなか戻らなければ脱水しているというものですが、なかなか難しいものでした。
看護師から詳しい説明を受けたりして、少し心配しすぎていたなとホッとしたことがあります。介護職同士での連絡と連携がしっかりできていれば予防は可能です。
体調の変化に気づくために
月並みですが普段一緒にいる人の「あれ、いつもと違うのでは?」という感覚が大事です。
熱を測ってみるのも1つの方法で、平熱を把握しておく必要がありますが、脱水の初期は風邪の症状と似ていて熱が出ます。平熱が低い方なら36.5℃でも立派に発熱です。
脇を触る方法もあります。自分で試してみてほしいのですが、脇を触ると皮膚が指にまとわりついてくる感覚があって、それで水分が足りているのがわかります。逆に足りなくなると渇くのでさらっとした感じになります。慣れると私はこの方法がわかりやすかったです。「お熱を測らせてくだい。」と言えば自然な流れで協力をしてもらえます。
水分不足は本当に怖い
しっかり食事を食べていれば、意外と水分も取れているようですし、冷房が嫌ならばしっかり換気をするなど、できることはいろいろあります。
今、経口補水液もいいものがありますよね。念のため常備している方もいるのではないでしょうか。以前私は災害用も兼ねて、朝ごはんの変わりになるといわれるようなパウチ入りのゼリー飲料を用意していました。
「人の身体はほとんどが水」「健康な人なら水だけで1カ月は生きられる」というのはよく聞く話です。
それだけ水は当たり前に必要なのに、身近すぎて簡単に捉えてしまうと危険です。
水分が足りないとせん妄(意識障害が起こり、混乱状態になること)も出ます。認知が進んだと思ったら水分不足だったということもあり得るのです。
起きてすぐのタイミングを狙って飲み物を出したり、「味見していただけますか。」と声をかけてみたり、施設なら勧めるスタッフが異性だったらうまくいくこともあります。
その気になってもらって、こまめな水分補給をするのが大切です。
ライタープロフィール
おちゃみ
ワープロ、パソコンのインストラクターから介護士へ。
特別養護老人ホームでは、介護福祉士の資格を取得し、4年半ほど勤務。
祖父母の介護を10年以上し、自宅で看取った経験を持つ。